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ストーリー概要 無数の気球が飛んでいた。 タイランドの祭りで使われるのと同じタイプの気球だが、これは祭りとは関係なく、日本人のグループが飛ばした気球だ。 一方、あり得ることばかりがあり得る時に起こる地球に嫌気がさしたAstro-Hue!は、新天地を目指して地球を飛び出した。 彼はあちこちの星を訪ね歩き、この、あり得ないことばかりが起こる惑星の側を通りかかった。 あり得ないこと…とは、例えばこうだ。 「地球」で飛ばされた筈の気球は、「この惑星」の大気圏を越え、宇宙まで飛んでいった。その無数の気球はAstro-Hue!の宇宙船と衝突する。 全く、機転が利かないとはこの事だ。 気球の衝突で火だるまとなった宇宙船がハードランディングした、このあり得ないことばかりが起こる惑星は「点呼する惑星」と呼ばれていた。 Astro-Hue!が振り返ると、そこに浮かんでいたのは複雑な形をした構造物であった。 「トゥジャリット。とにかくこれはトゥジャリットだ。」 次の瞬間、彼は干からびた大地にメッセージボードを見つける。そこに記されていたのは、彼と同様にこの惑星に落ち、そして9年間も脱出できない男からのメッセージだった。 --- 後から来る誰かさんへ 私がこの惑星に来てから9年の月日がたった。 私は今地球に居る。いや、本当は違う。 私はここにいるのだ。 もう何がなんだか分からない。 それもみなあのトゥジャリットのせいだ。 あと一歩で脱出できるところでミスを犯し、未だにここに居る。 あんたも同じ運命を辿るだろうよ。 しかし、私はあんたに期待したい。 トゥジャリットについて解ったことを全て書き留め、地球のある男にそれを渡した。 どうやって渡したかって? 簡単さ、ここは地球だからな。本当は違うが。 彼とハイムン人とNaangfaaが私を助けようとしたが、失敗した。 だが、新しい発見もした。 この惑星はあんたにすこぶる好意的だということ。 さあ、今度はあんたの番だ。まずはトゥジャリットのフィア・カスケーダーを壊せ。 それは簡単だ。許容量を超えた恐怖の声をおみまいしてやればいい。 どうやって許容量を超えるかって? 心配するな、恐怖を感じたら後ろを向いてみろ。 そこには大勢の恐怖する地球人が出現するはずだ。 気の毒だが彼らは"あんたの地球"に囚われてしまう。 ここは地球だからな。本当は違うが。 あんたの運命は彼らのヤル気にかかっている。 全員で一斉に叫べ。 フィア・カスケーダーが壊れれば、あんたはあの男と繋がる。 あり得ない事が起こっても気にするな。 ここは何でもありなのさ。 Astro-Ho! --- 「兄さん…」 そう。Astro-Ho!は、Astro-Hue!の兄であった。 その時、整然と並んだメガフォンから点呼の声が響いた。 『Astro-Ho!』 と、その直後、上空から男が振った来た。彼はAstro-Ho!。 しかし、彼は弟にも気付かず、何処かへ歩き去ってしまう。 続いて次の点呼。 『Astro-Hue!』 上空にはヒラサワの乗った論理空軍。その機体は、1枚の写真を落とした。トゥジャリットの下に大きな穴の開いた航空写真だった。 Astro-Hue!が絶叫すると、本当にトゥジャリットの下に穴が現れた。その穴に鉄球が落ちていく。 Astro-Hue!は後ろを振り返った。そこには、「大勢の恐怖する地球人」がいた。 Astro-Hue!は地球人たちと共に叫ぶ。 その声は徐々に大きくなり、トゥジャリットの一部、フィア・カスケーダーを破壊した。 ヒラサワは上空を飛び回っていた。その機体、「論理空軍」はこの世界の乗り物ではない。 空想上の、物語上の機体だ。しかし、その機体はこの世界で飛び回っている。 ヒラサワは言う。 「有り得ないだろう?」 ヒラサワはAstro-Hue!を救う為にやってきた。彼は以前、兄のAstro-Ho!を助けようとして失敗している。 Astro-Ho!はトゥジャリットの奴隷であるかのように、9年間も点呼による落下をくり返し、何処へ行くこともできない。 そしてヒラサワは、今度は弟のAstro-Hue!を助けようというのだ。 Astro-Hue!を助ける為には、Astro-Hue!のトゥジャリットを破壊しなければならない。 その方法はこうだ。 まず、Astro-Hue!の頭の中を覗き、陰陽に分断されたクンジェーを探して結合させる。 次に、ハイムン人がトゥジャリットを回転させ、クンジェーに対応したAAROMを見えるようにする。 そこへ、Naangfaaの歌声を浴びせかけ、AAROMを赤く染める。 最後に、地球人の絶叫でAAROMを破壊する。 トゥジャリットのAAROMを3回破壊すれば、トゥジャリット自体が機能を失う。 ヒラサワはハイムン人達を招集した。 ハイムン人の発祥は紀元前600年ごろにまで遡る。彼らはあらゆる物事に秀でていた。彼らは人々が自由になる方法を知っており、それ故に迫害された。なぜなら、何時の時代でも有能な人間が、本当の自由を知っている人間が、いると困る連中がいるからだ。 そして、ハイムン人が狂人扱いされた理由はもう一つある。彼らは有りもしないモノを回すことによって人々を自由にすると主張したからだ。 彼らが回すと主張したモノ、それこそがトゥジャリットだった。 ヒラサワはAstro-Hue!の頭の中をのぞき始めた。 1つめの記憶は、Astro-Hue!が地球脱出後3ヶ月。宇宙船の中で病にかかっているという記憶。 Astro-Hue!自身は死ぬかと思うほどの病だったが、実際は病気ではなかった。 2つめの記憶は、さそり座のHD151771。Astro-Hue!が王だった記憶。 誰も攻めては来ない、火も燃え上がってはいない。しかし、王、正確には王だと思わされていた男は、脅されて、攻め入る兵と燃え上がる炎の恐怖に、民を売ってしまった。 2つの記憶から、各々「陰クンジェー」「陽クンジェー」をGETした。ハイムン人がトゥジャリットの回転を解析する。 その間、ヒラサワはAstro-Hue!に語った。そのさそり座のHD151771は今、庭師が治めていると。庭師は全ての民のトゥジャリットを破壊し、本当の王となったのだと。 トゥジャリットが回転し、球はAAROMのガードを割って地に落ちた。 2人のNaangfaaの歌声がAAROMが赤く染めていく。そして「Astro-Hue!」の点呼と同時に地球人が絶叫し、最初のAAROMを破壊した。トゥジャリットのフロアの一つが崩壊していく。 3つめの記憶は、てんびん座HD139329。Astro-Hue!が勇壮な回帰船団の船長だった記憶。 ゲートの向こうは惨憺たる宇宙だったので引き返したとAstro-Hue!は言う。 引き続き、てんびん座HD139518の海辺に軟着陸したという記憶が蘇る。 しかし、HD139518に海は無いとヒラサワは言う。 てんびん座の記憶には陰陽ふたつのクンジェーがあった。 ヒラサワは再びNaangfaaを呼んだ。 次の記憶はとかげ座HD214558。地球と対になっている聖馬蹄形惑星の記憶。ここで起こることは何でも地球で起こるという。 しかし、この記憶は最悪の記憶だった。感情の汚泥のようだった。詐欺師がAstro-Hue!のトゥジャリットに馬乗りしている。 ヒラサワは陰陽ふたつのクンジェーを結合させようとした。しかし、クンジェーは合わなかった。 この恐ろしい記憶を見て、ヒラサワは同情した。新天地を夢見るのも無理はないと。 しかし、旅の先には新天地、平穏の地はあっただろうか。 Astro-Hue!が旅した記憶は、トゥジャリットが作り出す文脈が見せたものだった。 Astro-Hue!が見たものは、本当は何も存在していなかったのだ。 人は危険から逃れてて生きていられる。しかし逆に、憎悪や恐怖もまた、人を虜にする魅惑のイベントでもあるのだ。 ヒラサワは再び、陰陽ふたつのクンジェーを発見した。 今度は結合した。ハイムン人がトゥジャリットの回転を解析する。 運の良いことに、先ほど使われなかったNaangfaaの歌声に共鳴してPhonon Beltが現れた。 ヒラサワはPhonon Beltを変換してAstro-Hue!の宇宙船の電源にチャージさせるという。 無事にチャージは終了した。ヒラサワはオーバーチャージした分を放電させた。 稲妻のような光がスパークした。 最後のチャンスだ。しかし、トゥジャリットを破壊するには3回のAAROM破壊を全て成功させなければならない。 1回目は無事にAAROMを破壊したが、2回目はクンジェーの結合が失敗している。この時点でまだ1つのAAROMしか破壊できていなかった。 今回、AAROMを破壊できたとしても、合わせて2つのAAROMしか破壊できない。 無駄とは分かりつつ、トゥジャリットは回転を始めた。 いつものように球がセットされる。AAROMへ至る階段は2本ある…かに見えるが、正しくは1本は途中で途切れた階段である。正しい道へ球を転がさなければならない。 しかし、選択された道は、途中で途切れた階段の方だった。球はむなしく、2つ目のAAROMも破壊できずに地上に落ちる…かと思われたが、途切れた階段から落ちた球は、他の階段で受け止められAAROMのガードを無事に破壊した。そこから下へ球が落ちる刹那、トゥジャリットは思いがけない方向へ回転し、もう一つのAAROMの底面に繋がる階段へ落下した。そしてその球はゆっくり転がると今一度ガードを破壊し、地面に落ちていった。 ヒラサワは息をのんだ。「達人…」 ハイムン人がセットしたのは1度に2つのAAROMをむき出しにする「達人の回転」だったのだ。 Naangfaaが呼ばれ、その歌声が2つのAAROMを赤く染める。 そして地球人の絶叫。本来、1度の絶叫では1つのAAROMしか破壊できないのだが、ヒラサワはAstro-Hue!の宇宙船の電源を使った。蓄えられたエネルギーは再び稲妻のような光をスパークさせた。 その稲妻は絶叫をサポートするかのようにAAROMを攻撃し、そしてついに2つのAAROMを破壊した。 同時に崩れ去る2つのフロア。ついにトゥジャリットの3つのフロアが破壊された。 トゥジャリットの中央部。そこにいたのは幼児Loniaだった。 幼児Loniaは怒り狂いながら、トゥジャリットの下にある穴へ落下し、消えていった。 主を失ったトゥジャリットはその機能を失い、空中に浮かぶ、ただの壊れた構造物となった。 自由の身となったAstro-Hue!は空を飛んでいた。論理空軍となって。 一面に広がる空、そして雲。 Astro-Hue!には自分を縛り付けていた惑星が見えなかった。そこには自由に飛び回ることができる空しかなかった。 そのことについてAstro-Hue!はヒラサワに訪ねた。惑星が見えないと。 ヒラサワはそれなら惑星を見せてやると、自機の機体からミサイルを発射した。そのミサイルはAstro-Hue!の論理空軍に当たった。 再び、惑星が現れた。 ヒラサワはAstro-Hue!向かって言った。「今度はあんたが兄さんを助けろ。」と。 自分一人では何も出来ないと訴えるAstro-Hue!。しかし、彼は一人ではなかった。 空からは次々とAstro-Hue!の宇宙船と同型の船が次々と白い煙を吐きながらハードランディングしていた。 全く、機転が利かないやつらだ。 点呼が始まる。Astro-Ho!が上空から帰還した。 これから始まるのは、彼の自由への脱出劇だ。 ヒラサワはつぶやく。 「誰か、私のトゥジャリットを壊してくれないか?」 考察 1.トゥジャリット トゥジャリットには3つのAAROMがあり、その3つを破壊することでその機能を失う…と、思っていたのだが、実は違った。AAROMを入れるブロックはトゥジャリットに12個存在し、その全てにAAROMが納められている。 トゥジャリットには6面のフロアがあり、1面には2つのAAROMが納められている。物語上は1つのAAROMを破壊すると、同フロアのもう一つのAAROMも、フロア崩壊によって消滅するのである。 そのため、3面破壊され、幼児Loniaを失うトゥジャリットには、実はまだ6つのAAROMが残されているが、恐らくトゥジャリット自体が機能を失っているので、問題とはならないのだろう。 2.庭師KING インタラクティブライブの中で、唯一GOOD ENDINGへ辿り着くことができなかったストーリーがWORLD CELL、すなわち庭師KINGのストーリーである。 我々はKINGをPHASE6へ進めることは出来ず、再びPHASE5を繰り返させる結末となってしまった。 しかし、彼は我々の知らない間に新たなPHASEへと進んでいた。 そして、さそり座のHD151771の全ての民のトゥジャリットを破壊し、本当の王となってその世界を治めていた。 3.論理空軍 論理空軍は、平沢ソロではなく、P-MODEL用に作られた戦闘機(急降下爆撃機)である。モデルとなったのはユンカース Ju-87 G-2。 P-MODELの平沢機、小西機、福間機が編隊飛行する際、誰がどれか分かるようにモニタに顔が写されているらしい。 論理空軍のPVで機体前方から飛んでくるミサイルとすれ違うシーンがあるが、そこで福間氏は機体後ろに飛び去ったミサイルを後ろを振り返りながら目で追う映像がある。ここから考察すると、論理空軍の機体の各所に仕込まれたカメラ映像から再現される全方位(もしくはそれに近い)モニタの中にコクピットが存在していると考えられ、正面から撮影された顔をモニタに映し出していると思われる。なお、そのコクピットが機体内部にあるのか、外部にあるのかは不明。 ちなみにAstro-Hue!機にはP-MODELの3機体とは異なり、モニタ上部にAstro-Hue!の頭部と同型のアンテナ(?)が付いている。 あれはAstro-Hue!が首を左右や前後に振ったらズレると思うのだが、そのようなシーンはない(笑)。 4.ジンバルロック 本ストーリー概要はGOOD ENDING(ライブ3日目)を中心に書いているため、1日目、2日目(共にBAD ENDING)の内容に触れていない。その為1日目のジンバルロックをここで取り上げておく。 ジンバルロックは本編中で「3つの軸のうち2つの軸が同一平面上にそろってしまうと、どの方向にも回転しなくなる。」と説明されている。 これは3軸と言うからには、x、y、z軸のような空間の3次元ではないかと思われる。しかし、2軸は常に同一平面上に存在する。 全くの推測だが、 「3つの軸のうち2つの軸がある特定の平面上にそろってしまうと、どの方向にも回転しなくなる。」 と考えれば全体的に意味が通りそうである。 おそらく、「ジンバルロック面」とでも言うべき面があり、それを避けるようにトゥジャリットは回すべきなのだろう。「その面に2軸が合わさった時」、別のいい方をすれば「任意の軸がジンバルロック面に対して垂直になった時」、トゥジャリットはどの方向にも回転しなくなるのかもしれない。 5.父、Astro-Hi! ライブ2日目のBAD ENDINGで兄弟の父が登場する。 名は明確には表されていないが、ライブ会場で配られたボールペンに記された文字、 Rescue Hi! HO! HUE! H>&Me から察するに、彼の名前は「Astro-Hi!」なのだろう。 このボールペンの文字はDVDに封入されたカードにも記載されており、意味はおそらく、 Hi!(父)、HO!(兄)、HUE!(弟)を助けろ 平沢>あと、私も助けて ではないかと思われる。 Powered by Ruby 2.6.10 |