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HMV販促「Drive」インストアイベント

■ イントロダクション

我々はインターネットを通じて「Global Trotters」に関する情報を得ることが出来る. よって,インストアイベントでは彼らがCD発売に至るまでの多少の苦労/失敗談を聞くことができるのではないか…程度の期待しかなかった.CDに納められている曲の途中経過を聴かせてもらうことはおそらく誰もが予想していたプログラムであったに違いない.
しかし,イベントが終わろうとした頃,平沢氏は淡々と非常に重大で衝撃的な発言を口にした!
私はこの発言だけでも新宿へ足を運んだかいがあったと考えている.

■ 本文

レデリウス氏(以下ハンス氏と表記)と小西氏は大阪で一度会っているが,ハンス氏と平沢氏は電話ですら会話したことがなく,本日初の顔合わせだそうである.
グロトロの3名が拍手でステージに登場し,辺りはオヤジ臭が立ちこめた(ウソ).
平沢氏が黒一色なのはいつも通りだが,(いつもおしゃれな)小西氏が赤いジャケットに赤いソックスという出で立ち!まるでお笑い関西芸人のような服装.トホホ(笑).

ステージ中央のテーブルに向かって左から「ハンス氏」「平沢氏」「小西氏」が着席し,ハンス氏の横に通訳のお姉さんが座り,小西氏側にバイオスフィアレコードの方が司会進行役として立っていた.なお,この司会進行のお兄さんは不慣れなのか緊張しているのか,時々可哀相になる場面があった(笑).
通訳のお姉さんはいたのだが,ハンス氏はドイツ語ではなく,比較的簡単な英語で返答していたため,平沢氏や小西氏,または会場の観客も通訳される前に笑う場面も多かった.


平均年齢50歳の…オヤジ3兄弟♪

ハンス氏は一度来日したことがあり,その時は6月で蒸し暑かったが,今回は桜の季節で良かったと,また,平沢氏を「音楽と同様,とてもナイスな人だ」と,語った.

小西氏の元にはなぜか海外から(しかも一度にたくさんの)E-MAILが届くことがあり,同じようなきっかけでハンス氏とのDATを使ったコラボレーションが始まったとのこと.平沢氏が「ハンスハンスと言っているが…え?レデリウス?それはクラスターではないか!私も混ぜてくれ」と参加し,インターネットを使うようになった…と,まぁ皆さん知っているでしょうが,とりあえずはこんな会話からイベントはスタート(笑).

ハンス氏は自分が作った作品が他のメンバーにどう変えられるかは全く想像できないが, それに対する恐れのようなものはないと語った.
これに対し,平沢氏は,ハンス氏の作品は曲として完成しており,これを崩すような手は入れるべきではないとも感じていたが,逆に手を入れ,自分の解釈を加えることで,元の作品とは違うものを作ることが望まれていると信じて制作したと語る.
一方小西氏も,ハンス氏は多作でありコラボレートも多く,良い意味で作品に執着がない(それはグロトロ全員に言えること)ということを語った.
ハンス氏は平沢氏が歌入れした部分に関して,ヨーデルに似ていると感じたが,平沢氏から火消しの芸の時の歌い方であると聞き,オーストリアと日本の文化の類似性をみつけ,嬉しかったとコメントした.
さて,今回グロトロを実現させた最も重要なツールとしてMP3が挙げられる.
平沢氏はこのMP3を「CDと同じような音質で,1分の曲を10分でダウンロードできるファイル形式」だと説明した.MP3の音質を確認するという名目でステージテーブルのMACから「Drive」を再生する.
小西氏はMACを操作しながら,平沢氏がMACをさわるとアーティストイメージが落ちるが,小西なら大丈夫と言われているので操作していると(意味不明な(笑))説明をかました.
ちなみに小西氏は以前MACも使用していた.現在は主にWindows NTを使用しているようであり,「MACを操作するのはしばらくぶりだ」とつぶやく(笑).
「MACを操作します」という小西氏のかけ声とともに「Drive」のオリジナルバージョンが再生された.完成型と比べると多少スカスカした感じはあるが,骨組みがしっかりしているので,そういう意味で完成度は高い.

現代的な感じがするが,現代的音楽は聴いているかという質問に対し,ハンス氏は「忙しくて聴いている時間がない.カーラジオで聴く程度.傾向は知っているが詳しい訳ではない」と言い,小西氏が「ここの3人は一緒(現代音楽に明るくない)」とコメント(笑).
これは意訳すると「皆さんいい年齢ですが,最近の流行とかわかります?」という質問に「ワシら,よくわかってないんだけど」と回答したということである(笑).

ここでグロトロに参加した他のメンバー,アルミキア/フェリックス・ジェイ/デイヴィット・ビックレーの簡単な紹介の後に曲の作成の行程の説明.
まず,ハンス氏サイドで作成した「Parallel Motives」のオリジナルバージョンが再生された.
続いて小西氏がこれに「生ベース,生シンセ,生短波ラジオ」を追加したハンス−小西バージョンを再生.小西氏は(ハンス氏と自分の)タイミングの見方が似ており,ここで音を入れようと思うと既にキュイーンと音が入っている,だからそれを避けながら音を追加している,とコメント.
平沢氏はさらにその後に音を入れるのでもっと大変ですか?という質問に対し,「それよりも小西が「生短波ラジオ」なんて単語を使うから通訳が困ってます(笑)…という感じです」と楽しそう(笑).
小西氏の「アップルCDプレーヤーを操作します」のかけ声で,最終的なバージョンが再生される.
ハンス氏が「タイコドラム(タイコは和太鼓の意)」と言っているものが,実は「音源はドイツものです」とコメントする平沢氏(笑).

■ 衝撃の発言

さて,今度の活動について,平沢氏はグロトロを続けるかどうかはわからないと断った後に,MP3について語った.出来るだけ本人のセリフのまま載せます.

MP3という技術はミュージシャンの立場を大きく変える可能性を持っている.ということで実はこれはぜひ覚えておいてください.「MP3」です.このキーワードを知っておくと今後のP-MODELの活動がより面白くなるのではないかと.で,これがつまりインターネットの中を自由に飛びかえるファイルであるということから世界中の人たちと共同作業ができるチャンスが我々にいっぱいあるので,是非色々な形で試行錯誤をしていきたいと考えております.

ハンス氏の今後の行動はアイルランドやイタリア等のミュージシャンとのコラボレーションが予定されているなど,多忙な状態を語った.
同様に小西氏に今後のP-MODELの活動を尋ねると「訊かないで下さい.大将に訊いて下さい」と笑いながら返答した.
そして次にまたもや平沢氏の口から本日最も重要な発言が…

(P-MODELの作品については)発表するタイミングを準備しております.で,それまでは一切ちょっと明かせません.が先ほど皆さんに覚えていただいたキーワードというのが大きなカギになります.おそらく日本ではプロのミュージシャンというのはそこに踏み切ったミュージシャンはいないだろうし,世界的にいっても大胆な行動を半年間の間にわたってやり続けます.記者発表にご期待下さい(笑).

以上,これにてインタビューは終了となった.

■ 考察

さて,上のコメントや最近の雑誌のインタビュー等から「P-MODELの次回作はMP3でシェアウェアデータとして発表される」ことがほぼ確実となった.
ある意味,「PCを持っていないP-MODELのファンはどうなるのか?」という問題に対する回答であると私は考えている.パソコン通信/インターネット/CD-EXTRA/オンラインゴースト…と数々のメディア/ツールを使うことで,「PCを持っていないファンが楽しめない」というデメリットを超えて「即時性のある情報交換,多彩な表現手法」というメリットがあったはずであり,これからも新たなメリットの為に彼らは様々なメディア/ツールを使っていくだろう.
P-MODELは単に目新しい技術としてMP3を使いたがっているわけではなく,現在の音楽産業におけるP-MODELの立場から,新たなマーケティング方法のツールとしてMP3を採用したことは想像に難くない.現在の音楽業界の手段ではできないこと…それは「MP3」がインディーズレーベル「旬」に取って代わる可能性も秘めている.

さぁ,とりあえずMP3プレーヤーをインストールするのだ!(笑)

■ ポストカード



インタビュー終了後,HMV新宿でDriveを購入した者に直筆サイン入りポストカードがグロトロメンバーから直接手渡された.しかし,愚弄吐露とは一体…?(笑)
【愚弄】ぐろう(意)ばかにしてからかい,その価値を認めないような扱いをすること。
(例)先生を愚弄する言葉を吐く。
【吐露】とろ(意)自分の意見・気持ちなどをかくさずに述べること。





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