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【1996年夏】 ロゴマーク→バーコード 1995年の年末、Windows95が発売された。 明けて翌年、平沢進ファンクラブ、HIRASAWA BYPASSの、よりアクティブな形態として、 PC通信、インターネットを用いたHIRASAWA CYBER BYPASS、通称HCBが発足する。 日本でも本格的なインターネット時代が始まろうとしていた1996年夏。 平沢進の6枚目のソロアルバム「SIREN」とシングル「サイレン *Siren*」が発売された。 TESLAKITEレーベルの最初のCDである。 そのCDに印刷されていたTESLAKITEのロゴマークがこちら。 ![]() 日本で商品等に付けられているバーコードは、一般的にはJANコード標準タイプが使われている。 このバーコードは13桁の数字が納めることが出来る。 TESLAKITEのロゴマークの歪んだ部分を元に戻して、バーコードリーダーで読み込めば、おそらくは13桁の数字に変換できるはずである。それともエラーとなるだろうか? 私はまず、TESLAKITEのロゴマークの歪んだ部分を元に戻した。正確には歪んでいない部分を引き延ばしたのである。
バーコードは数字をバーに置き換えたものであるが、画像から数字を求めるのは、意外と面倒で、しかも難しい。 実は13桁以外の情報も入っていたりする。 まだ、インターネットがそれほど普及していない1996年では、バーコードについて調べるにも細かいことは分からず、 このバーコードの画像は私のHDDの中に謎のまま放置されていた。 【2002年春】 バーコード→数値 それからおよそ6年程経ったある日。 知人が新しい携帯電話を買ったと自慢げに見せびらかせにきた。 DoCoMoではまだ珍しかったカメラ付き携帯で、彼はバーコードも読めると自慢した。 もちろん、それはQRコードといわれる2次元バーコードのことなのだが、 私はJANコードのような1次元バーコードも読めるのではないかと思い、 件のバーコードをノートPC画面上に表示させ、携帯のバーコードリーダーで読み取ってもらった。 読めるのか。それともエラーとなるか。 携帯のモニターに表示された文字は、4988005165053。 やはり、読めた。 それは例えば、何かの記念日の年月日のような、意味のある数字ではなかった。 ただし、きちんと読み取れる正しいフォーマットのバーコードであるならば、 元となった工業製品が存在する可能性が高い。 つまり、ロゴマークをデザインする際、何かのバーコードをそのまま使ったというわけである。 それは、チョコなのか、タバコなのか、ボールペンなのか。 現在、私達はコンビニやスーパーで買い物することが多いため、 殆どの商品にバーコードがあるように思いがちだが、実はそうでもない。 花やケーキのような生もの、車などのような大型、高額な商品に、バーコードはついていない場合が多い。 バーコードは、ショッピングバスケットにいくつもの商品を入れ、レジに何人も並ぶような、 大量生産、大量消費の商品に有用な仕組みなのである。 ![]() 4 988005 165053。これが一体何の商品を示すバーコードなのか。この時点では私には調べる術はなく、再び謎のまま放置された。 【2009年春】 数値→商品 それからさらに7年。P-MODEL30周年、平沢進ソロ20周年を迎えた2009年。 私は突然、TESLAKITEのロゴマークの謎の解析に改めて着手することにした。 さて、どこから解析するかと思いを巡らせた時、はっと気付くことがあった。 TESLAKITEの商品そのものにバーコードはないのか? タワレコやショップ・メカノで商品を購入したら、商品にバーコードリーダーを押しつけられるのではないか? 私はアルバム「点呼する惑星」を手にとって確認した。 結論から言うと、「点呼する惑星」にはバーコードはない。 ショップが管理上独自にバーコードをつけることはあるかもしれないが、 それはそのショップの中だけで通じるバーコードである。 しかし、過去の平沢進、P-MODELの作品を調べていくと、ビデオやシングルにはバーコードがついているのである。 そして、当時のバーコードは先頭7桁が企業コードである(2001年以降は9桁に拡張された)。 「4 988005」、それはポリドールレコードの商品のバーコードに必ず付けられている数値だった。 そこで、平沢博物苑のディスコグラフィーを確認した。 また、13年前、7年前には幾ら探せど見つけられなかった、バーコード逆引きサイトサービスも検索で簡単にみつかった。 4 988044 800106 : 旬IV VISION 復刻版 4 988044 800168 : 三界の人体地図 VHS復刻版 これは(株)ディスクユニオンの商品。 4 988005 066381 : 世界タービン 4 988005 071699 : ERROR 4 988005 084040 : バンディリア旅行団 4 988005 082497 : デトネイター・オーガン 0 4 988005 098337 : 魂のふる里 4 988005 102829 : BITMAP 1979-1992 4 988005 138323 : Hyper Angel 〜元気の素はKimiの笑顔〜 Shelly これらがユニバーサルミュージック(株)の商品。ポリドールはユニバーサルミュージック傘下のレーベルである。 だんだんと、TESLAKITEの「4 988005 165053」に近付いて来ている。 しかし、この後は 4 988001 431282 : サイレン *Siren* となる。販売元は、コロムビアミュージックエンタテインメント(株)。 現在、インディーズでもなければ、CDはアルバムであろうとシングルであろうとバーコードがついている。 当時はCDアルバムにはバーコードはついていないのだろうか。 先頭7桁の意味はわかった。残り6桁、いったいこれは何のCD(ビデオ?)なのだろうか。 ここから先はネットで調べたところで分かるはずもない。 私は直接ユニバーサルミュージックのカスタマーセンターへ電話をかけた。 「はい、こちらユニバーサルミュージックのカスタマーセンターです。」 「すみません。そちらの商品を購入したいのですが、商品名がわからなくて…」 「はい。」 「バーコードがわかっているのですが、」 「かしこまりました。番号をどうぞ。」 えっ… 私はそのようなことが日常的に行われる質問とは思われず、 「詳しい者に替わります」というような展開を想定していたのだ。 「4 988005 165053です。」 「はい…平沢進の」 えっ!やっぱり? 「SIM CITYです。」 「あ、それはアルバムの?」 「はい、平沢進の5枚目のアルバムになります。」 「ありがとうございました。」 「よろしくお願いします。」 そうか、やはりそうか。薄々は思っていたのだが、 CDアルバムの外側の背表紙部分に巻かれた紙、そこにバーコードがあったのだ。 つまり10数年前から、きちんとCDアルバムにもバーコードはついていたのだ。 TESLAKITEレーベルの最初のCD「SIREN」の直前のアルバムは、P-MODELのアルバム「舟」(発売:コロンビア)であるが、 TESLAKITEのロゴを作る時は、P-MODELの最新アルバムではなく、平沢進ソロ作品の最新アルバムのバーコードを採用したというわけである。 私は、その足でタワレコへ行き、SIM CITYを購入した。 もちろんSIM CITYは持っている。厳密には、既に2枚のSIM CITYが我が家にはあり、これで3枚目となる。 私は、この3枚目のSIM CITYは解析の記念として、封を切らず持っておくために購入したのである。 ふと考えると、曲が好きでCDを買う、アーティストが好きでCDを買うということは一般的である。 他にもジャケットが気に入って買うジャケ買いや、購入特典が欲しくて余計にCDを買うこともあるだろう。 しかし、未だかつて、バーコードが欲しくてCDを買う人間がいただろうか(笑)。 もしかしたら私は、日本初、世界初の「CDのバーコード買い」をした人間かもしれない(笑)。 ![]() 左:SIM CITY、右:サイレン *Siren*(シングルCD) 【後日談】 実は既に… さて、実はバーコードの解析しながら一つ気になっていたことがある。 それは、TESLAKITEのロゴがSIM CITYのバーコードだと、既にTESLAKITE側から、どこかで情報が流れていないかということ。 知っているとしたら、やはり平沢博物苑のジフさんだろう。 これは訊いてみたいことは訊いてみたいが、解かないうちにはなかなか訊きにくい。 この原稿を書き上げ、その日にジフさんへ 「バーコードのグルン直してバーコードリーダーで読んだら、何の商品になるか」 と訪ねたら、 「SIM CITYのバーコードだって聞いた覚えがあります」 と即答(笑)。 即座にTESLAKITEのロゴとSIM CITYのバーコードを見比べ、目視で一致したと教えて頂きました。 …私の13年はなんだったんだー!(笑) でも、答えを知らないで解いている間は、結構楽しめましたけどね。(笑) さらにHB18号には、95年点検隊のバッチに書かれてるバーコードも同じものである記述があると教えて頂きました。 どこまで詳しいんだ。この人は(笑)。 また、別件ですが、某CDショップで試しにTESLAKITEのロゴにバーコードリーダーを当てたら、ちゃんと読み取れた… というウワサもあるそうです。 そう言われれば、最近あのロゴ、異様に小さくなってる気が(笑)。 |