賢者のプロペラ ミャンマー語の解読

  だってこれ、ミャンマー語でしょ?
先日(2024年12月7日)、「賢者のプロペラ ジャケット暗号の解読」のリンクを過去コンテンツの宣伝として、Xにポストしました。
その流れで「賢者のプロペラ 解読」で検索してみたところ、賢者のプロペラのブックレットに書かれているミャンマー語はどういう意味なのか、 といった書き込みを数件見つけました。

もちろん、私もCDを購入した際(今から24年以上前)、なんか外国語が書いてあるな、とは思っていたんです。

でも、これって多分ミャンマー語じゃないですか。
ミャンマーネイティブが翻訳すればいいことで、英語すらおぼつかない私が読み解く必要なんてないのですw



例えばこの、曲目の先頭にある文字。

1曲目から
ときて、10曲目が
まぁ、これは数字なんでしょうね。
「ミャンマー語 数字」で検索したら、ビンゴ。
想像通り、1〜10の数字(曲番号)でした。
とすると、一番下の少し長めのミャンマー文字の最後の
は「0001」なのかなと。

分からないですけどね。だって母語話者は「ガソリン」ってちゃんと読めるけど、外国人が見たら「ガンンン」と区別つかないじゃないですかw



とはいうものの、これを0001と仮定して、CDの背表紙になるところの紙。 ここにそのミャンマー文字と、CDの型番「CHTE-0001」が並んで書いてあります。
おそらくこのミャンマー文字は「CHTE-0001」なんだろうなと想像がつくわけです。

と、ここまでは私がXを検索してみたら同じようなことを書いている方が既にいらっしゃいました。

ところで、英語のアルファベットと、フランス語のアルファベットはほぼ同じ構成です。ドイツ語もウムラウトがあるけど、 ほぼ英語のアルファベットと同じ構成になっています。
でも、日本語の50音ってアルファベットと全く違う構造をしていますよね。
ちょっと調べたら、ミャンマー語も英語のアルファベットとは全く違う、独自のアルファベット構造を持っている。

となると、なんでCHTEという意味のないコード(※)をミャンマー文字に置き換えられるの?という疑問はちょっとあるんです。
(※)CHaos union、TEslakite という意味はあるけど、そいうことではなくてw
アルファベットと五十音が対応しないように、ミャンマーのアルファベットだって対応しないはず。
つまり、「music」は「音楽」、「car」は「車」と日本語に置き換えられますけど、コードでしかない「CHTE」は置き換えようがない。
「CHTE」をアルファベットを使わずに無理に日本語に置き換えるとしたら「シーエイチティーイー」になります。そういう音的な変換なの?


  もう一つのミャンマー語

ここでもう一つ。ブックレットのちょうど中央のページ、見開きでもう一つのミャンマー語があります。



分かりやすく色を塗るとこう。



赤文字は先ほどの「CHTE-0001」じゃないかと予想しているものと同じ文字列。黄文字が第二のミャンマー語。

最初にも言った通り、ミャンマー語ならミャンマーネイティブに読んでもらえばいいわけです。
私の会社にもミャンマー人の後輩がいるので、この画像を送って、上の文字は「CHTE-0001」だと思うんだけど、下の黄色い文字はなんて書いているの? と質問したら、「これはアルファベットがバラバラに書いてあって読めません」と返ってきたのです。


  ちょっと待って…これ暗号?

これはミャンマーのアルファベットが並んでいるけど、文章になっていない。
ということは、これはミャンマー文字じゃなくて暗号ってこと?

ちょっと待って、そうなると話は変わってくる。
これって「ひ組が解くべき課題」なのでは?

各曲についている文字はミャンマーの数字です。
すると赤文字は「CHTE-0001」と推測できます。
だとしたら、黄文字は何と読めるでしょう?

ってことじゃないの?

後輩が「これ出典なんですか?」と聞いてきたので、これは「平沢進」というアーティストの「賢者のプロペラ」というCDのブックレットに書いてあったもの。 おそらく「ヒラサワススム」か「賢者のプロペラ」か、または平沢氏の別名である「Wiwat Tarasangop」と書かれているんじゃないかと想像してる。 何かわかったら教えて。と伝えておきました。


  解答がわかった。そして解法もわかった

改めて暗号文を凝視…ってあれ?これ簡単に解ける…



この黄文字、Hirasawa Susumuと書いてあると仮定して…3か所の「a」の場所に「6」みたいな文字がある。 3か所の「s」の場所に「J」みたいな文字がある。よく見たら「u」の3か所も「m」みたいな文字。
これ「Hirasawa Susumu」で決まりじゃないですかw

さて、「解答」は分かったけど「解法」はまだ分かっていない。
対応していないはずの「英語のアルファベット」と「ミャンマー語のアルファベット」が、なぜ対応して、変換できているのでしょう?

今度は暗号文から目を外し、あらゆる可能性を考えてみる。翻訳ではない、「難関」が「Fq4X」に置き換わったように、何か機械的な対応表のようなものがあるはず。
例えばアルファベットと五十音に何かしら対応表を作るとしたら…。その時、私の中に一つのひらめきが。

「これってキーボード配列なのでは?」

「ミャンマー語 キーボード」で検索。わかった。これだ!



これはキーボードそのものではなくて、キートップに張るシールです。
つまりキーボードの言語をミャンマーにして「chTe-0001」とキーボードを打てば「赤文字」が、「Hirasawa Susumu」と打てば「黄文字」が出てくるわけです。
おそらく、ただ打てばキートップの下に刻印された文字、Shiftを押しながら打てば上に刻印された文字が入力される。
なぜ「chTe」とTだけShift押した文字になっているのか、「-」が「ω」のような文字になるのかは分かりませんが。

ただ、解法は分かった。後輩に伝えようとメッセージアプリを開いたら、 後輩からも「これキーボード配列で平沢進様の名前を打っている」とのメッセージが。
お前も気づいたか。やるじゃないかw

つまり、日本語に置き換えるとこういうことです。
カナキーをロックして「HIRASAWA」と打つと「クニスチトチテチ」と出てくる。日本人でもこれは意味のない文字列にしか見えません。



ところがここでキーボードを見て、「ち」って「A」だな、「と」って「S」だな、と気づくと「クニスチトチテチ」を「HIRASAWA」にデコードできます。

これのミャンマー語版が今回の課題だったというわけです。

ところでこれ、なんで「賢者のプロペラ」じゃなくて「CHTE-0001」を暗号文にしたのでしょう? もしかしてこれがないと解くのが難しいからという、平沢さんからのヒントだったのかも…。

このミャンマー文字が課題だと見出すまでに、24年とふた月もかかってしまった…。ごめんて。




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