|
|
3つの試み WORLD CELLライブでは,3つの新しい試みがあった. まず1つ目,これは開演前からわかっていたことだが, インターネットを用いた在宅オーディエンス(宅オ)の参加. これはホットポイントの幾つかを宅オが選択するという仕組みで, 無事マシントラブルもなく,製作者側としては成功したと言える. ただ,想像した通り,会場からの宅オへのフィードバックは少なかった. 大阪公演のみCS生中継があり, いくつかのチャットに参加した宅オはCS加入者の実況中継にて 情報を得られたのが救いだった. 2つ目,この試みは驚いた. 東京公演でKINGを「放置するか否か」というホットポイントがあったのだ. KINGを救いに行った観客が「放置」を選択できるわけがない. インタラクティブライブでありながら,片方しか選べない. なんという逆説!なんという裏切り! 「ビデオ化されるなら大阪公演だから,東京公演ではババひいてしまえ」 という私のようなひねくれ者が他に何人いただろうか?(笑) 東京公演に関しては,この選択は「あらかじめ決まっていた」と言ってよい. インタラクティブライブによる,インタラクティブライブの否定と私は見る. 確かに私も「放置を選べばライブが終わるのではないか」 という不安も一瞬よぎったが,そうではなかった. これは後々,大きな問題を孕んでいた. 東京公演のラスト(BAD ENDING)でわかるのだが,「KING放置」が 「GOOD ENDING」への道なのである. 今回は4つの結末があると言うが,大きくはGOOD/BADの2通り. そして公演も2回のみ. 東京公演でのBAD ENDINGは既に(公演前に)決まっており, 製作者側としては当然大阪公演でGOOD ENDINGとなる予定だったのだろう. 大阪公演でなにも情報がなければほぼ全員がKING放置を選ばないのは明白. 「東京公演のリピーター」と「想像を逸したひねくれ者(笑)」, つまりKING放置を選ぶであろう人数は, 大阪IMPホール収容人数の過半数に対し絶望的に足りない. これは何を意味するのか. なんらかのネットワークによる伝達を期待していたのは明白. 現状,それは主にインターネットであろうことも想像に難くない. これが3つ目にして,実は最大の試み(賭)であったと私は想像する. ある掲示板ではネタバレ云々の議論があったが,はっきり言って問題外. BLACK in WHITE船団ツアーでネットワークを用いてパスワードを伝達すると同様に, 「KING放置」の伝達は「最初からシナリオに組まれていた」のである. 東京公演でPHASE-6の存在を教え,観客をPHASE-0に戻す. 東京公演と大阪公演は繋がった1つのストーリーになるはずだったのだ. そして,それは失敗に終わった. 見えない枷 なぜ失敗したのか. BLACK in WHITE船団ツアーのオンラインボイジャー(OV)を思い出して欲しい. 我々OVは「準備された護符」は見つけられたが, 「人形焼き」を見つけることができなかった. 私は各メンバーやオフィシャルのHPをくまなく周り, 謎めいた言葉は注意深く深く考えた. しかし見つからない.あたりまえだ.準備されていないからだ. 実はこの時,P-MODEL側では人形焼きを見付けられない場合, 「会場に人形焼きを持ち込んだ者がいればデジカメで撮影し,その場でアップする」 「会場に人形焼きがなければ,自分達で用意した人形焼きを同様に撮影/アップする」 という2段階のシナリオ(逃げ道)を準備していた. 私は100%冗談で自分のHPへ人形焼きの画像をアップし, 他のOVがまた冗談でOVの掲示板へ書き込んだ. しかし,結局それが採用された. 正解は「無関係のHPから人形焼きを探す」ということだった. 私は悔しかった.インターネットオリエンテーリングといいながら, HPを限定してしまうという柔軟性のない発想を後悔した. 私は(そして全てのOVは)見えない枷を持っていた. もうひとつ,架空のソプラノライブにて, 舞台からのレーザー光線を観客の持ち込んだ鏡で反射させ的に当てる, いわゆる「緑の神経網」という試みがあった. 大阪公演で一度目は単純に1つの鏡で反射させ成功した. しかし,本当は複数回の反射で「網」を作らなければならない. 東京公演の2日目,ファンが複数回反射させる重要性を説いたチラシを作成. 正式な許可をとり,開演前の会場で仲間達の協力のもとにチラシを配布した. 複数回反射したレーザーは緑の神経網となり,本当の意味で成功した. そして平沢氏はそのことを高く評価しているらしい. 数人のファンがインタラクティブライブの選択をあらかじめ操作しようとしたのは, なにもWORLD CELLライブが初めてというわけではない. KING放置の重要性を説いたチラシを作成してでも, 辿り着かなければならない結末がWORLD CELLライブにあったのではないか? 平沢氏は大阪公演でGOOD ENDINGになることを期待していた.ファンの力を信じていた. しかし結末はこれだ.我々ファンは期待に応える力は無かった.ただそれだけだ. 悔しい.私は人形焼きを限定したHPだけで探していた時と同じように悔しかった. 「インタラクティブライブというものは云々」「ネタバレと表題に書けば云々」 「大阪公演だけ参加する観客に対して云々」それが枷なのだ. 東京公演のストーリーを理解していれば, 簡単に外れる枷にほとんどの宅オはずっと縛られていた. 次のインタラクティブライブやP−ライブではいかなる難問が出されるか. もう我々は「WORLD CELL大阪公演直前よりは期待されないだろう」 という考えがよぎる. 結局我々はその程度だったのだと思い知らされた. |